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未来工業の奇跡

 

岐阜県にある未来工業という会社は、社員800名くらいの中規模建材メーカーですが、45年前の創業以来、常に増収増益を重ね、これまでに赤字を出したことは、ただの一度も無い超優良企業です。しかもこれまでに、成果主義を導入したりノルマを課したりしたことは、ただの一度も無いそうです。好業績の一因として、800名くらいの社員から、毎年1万~1万5千件もの改善提案が自然に上がってきて、それが製品改良や競争優位の原動力につながっていることが、挙げられます。

それでは、何故社員のモラルがこの様に極端に高いのでしょうか?実はこの会社、労働者天国としても有名で、最近しばしばマスコミに取り上げられているほどです。何しろ年間休日が140日(有給休暇を含めない)、1日の所定労働時間が7時間15分で残業無し。4時45分には仕事が終わるので、家が近い人は、毎日5時には帰宅しているそうです。給与水準も40歳で年収600万円弱だから、決して低いわけではありません。

労働時間が短いということは、裏を返せばそれだけ事業効率は悪くなるわけで、この様な甘い経営をしている会社は、早晩経営は傾くはず、というのが常識的な判断でしょう。それでは何故この様な、夢みたいな好循環が実現するのでしょうか?1社員の立場から考えてみると、どうもこういったことのようです。「この様な仕事の楽な会社に勤め続けるのは、自分にとって最も利益になる」→「この様な仕事の楽な会社の業績が悪化して最悪倒産した場合、一番困るのは、これまで楽をしてきた他ならぬ、この自分自身である」→「従って、この様な仕事の楽な会社は、自分個人の幸福のためにも、永続的に発展してもらわなければ困る」→「それならば、会社の永続的発展のために、自分が会社に出来ることを、改善提案も含めて出来る限りのことをすべきである。その方が、長い目で見て自分の最大の利益・幸福につながる」。全社員がこの様に考えて、強制せずとも皆が会社の発展のために、常にベストを尽くすように自然となったことが、どうやら原因のようです。つまりエゴイストほど、却って会社の行く末に対して心から強い関心を持ち、会社の発展の為に個人として出来る限りの献身を惜しまないようになったのです。

 同社の創業者で現相談役の山田昭男氏は、次のように考えたそうです。働く条件を出来るだけ良くしてやれば、社員はそれに応えようと頑張るはず。但し給与は上げようと思っても限界があるので、労働時間の短縮で報いることにした、と。どうやらこの発想が、社員のモチベーションを自然に高めることになった、ということのようです。

 

 

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