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舎利子見よ、労使紛争花盛り ~崩壊した4つの防波堤~


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比較的近年までは、終身雇用制・高額の裁判費用・労働者の無知・タテ社会の秩序の4点が、結果として労使紛争の発生に対する見えざる抑止力として作用してまいりました。今やこの4つの防波堤は、下記の通りことごとく崩壊しております。

1. 終身雇用制と年功序列制
正社員に対する終身雇用制度と年功序列制度の提供は、従業員の忠誠心と会社への依存心を高める効果があり、たとえ処遇に多少不満があったとしても、会社側と表だって争うことは、他ならぬ自分の後々の出世に不利になるという思惑が働いて、労使紛争の発生を未然に防いできました。
今や大半の企業の全社員の3分の1が、パート・アルバイト・有期契約・派遣等の非正規社員であり、又、度重なるリストラの実施は、社員に対して「文句があるなら、遠慮しないで言わなきゃ損だ」という気持ちを起こさせています。

2. 高額の裁判費用
裁判費用は敗訴者の負担となるものの、弁護士への高額な報酬はその対象外で本人負担となるため、これが労働者に対して正式な訴訟に踏み切ることを躊躇させる大きな要因でした。
近年の少額訴訟制度やあっせん制度の導入により、現在労働者の正規の訴えに対する敷居は、極めて低いものとなっています。

3. 労働者の無知
労働法に定められた労働者の権利に労働者が余り詳しくなかったことが、抑止力の1つでした。
今やインターネットのキーワード検索機能を駆使すれば、誰でも詳しい法律知識を容易に入手することが可能な時代です。

4. タテ社会の秩序の崩壊
これまでは先輩後輩関係に律せられたタテ社会において、従順と忍耐が社会生活における最大の美徳とされてきました。
モンスターペアレントに散々甘やかされて育ち、自己主張ばかりが旺盛で社会性や協調性、堪え性に丸で欠けるシュガー社員やクレーマー社員の登場は、これまでの労務管理では機能不全に陥るほどの大幅な職場環境の変化を、もたらしております。

つまり「これまで、うまくいっていた」イコール「今後もうまくいくだろう」には、決してならないのです。


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