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風が吹けば、桶屋が儲かる

「風が吹けば、桶屋が儲かる」因果関係について説明した江戸時代の有名な諺ですが、現在の日本についても、色々と当てはまるものが見られます。例えば「出来ちゃった婚が増えると、子供の虐待が増加する」これは、評論家の武田徹氏の指摘です(日経ビジネス2006年12月11日号「終わらない話」より)。すなわち、出来ちゃった婚により親となる心の準備や自覚の出来ていなかった男女が、子供に対する愛情を持てずに虐待に走る、という武田氏の指摘は、案外と正鵠を射ているのでは、ないでしょうか。それでは現在の日本の労使関係においては、どの様なものが見られるでしょうか?気のつくものを、いくつか指摘してみたいと思います。

 

1.非正規社員の増加は、内部告発の増加を招く

近年増加が見られるようになった内部告発の多くは、実は非正規社員によるものだそうです。正社員の場合、内部告発などやらかして、自社の業績が悪化しボーナスが減れば、困るのは他ならぬ本人自身になるわけです。自分の乗ったボートの船底に、わざわざドリルで穴を空けるバカはいないわけで、愛社心というよりも単に損得勘定に基づいて内部告発などしなかったことが、結果的に抑止力として作用してきたわけです。それに対してパート・アルバイト・有期契約・派遣等の非正規社員は、明日の雇用の保証もない立場であり、勤め先に対する帰属意識も低いので、正社員と同じ感覚でいると、思わぬしっぺ返しをくらうことになりかねません。

 

2.リストラの実施は、若手社員のモラルダウンと転職志向を招く

不況の度に実施されるリストラ、これもあまり安直に繰り返すと、若手社員のモラルに大変な悪影響を及ぼします。リストラを見ている方は「どんなにこの会社に忠義を尽くしたところで、いざとなったら、ああいう仕打ちを受けるのか」と考えます。一方でリストラを実施しておきながら「我が社は人を大切にする会社です」などと喧伝したところで、聞かされる方は、しらけるばかりです。そうでなくても若者の転職志向の強い今「その程度の会社だったら、今のうちにもっと条件の良いところを捜そう」と彼らが考えたとしても、一概に非難はできないでしょう。

 

3.慢性の長時間残業は、自殺・過労死・うつ病を増加させる

不況の折柄、ある程度の残業の発生はやむを得ぬところではありますが、安易にこの状態を放置しておくと、多くの社員の心身の健康に確実にマイナスとなります。近年の勤労者の自殺・過労死・うつ病の増加の大きな原因として、慢性の長時間残業が挙げられます。個人の頑張りにも限界があります。木の枝を手にとって折り曲げた場合、ある程度までは枝がしなって持ちこたえますが、一定限度を超えるとポキリと折れてしまいます。ゴール無き短距離ランナーとなることだけは、労使双方の幸福のためにも、くれぐれも避けたいところです。

 

4.成果主義の徹底は、チームワークの崩壊と教育指導の減少をもたらす

これについては次回に詳述しますので、そちらを参照して下さい。

 

5.職務発明に対する不当な評価は、技術流出をもたらす

近年、半導体や液晶等の生産技術において、近隣諸国のキャッチアップが激しくなってきましたが、要因の一つとして技術開発企業のキーマン技術者が、高額の報酬で近隣諸国の同業他社にヘッドハンティングされている事実が挙げられます。スカウトされた技術者は「自分の存在が、相手会社から高く評価されたことだけでも嬉しかった」と言っています。裏を返せば、所属日本企業の彼らに対する評価が、決して高いとは言えなかったことになるわけです。実際、これまで職務発明者や技術開発のキーマンへの対価は、他人よりボーナスが若干多い程度でしかありませんでした。従来の日本企業は「和をもって貴しとなす」として、むしろ高給処遇による企業内の嫉妬や不協和音の発生を恐れ、職務発明等の技術開発の業績貢献に対して、あまり高額の報酬で報いてはこなかった傾向がありました。今やこの日本企業の伝統的な美徳は、寧ろ悪平等と解釈すべきであり、職務発明に対する従来の姿勢を改めなければ、更なる技術流出は避けられないこととなるでしょう。

 

6.幹部候補の早期育成制度は、少数のエリートと多数の廃人を同時に作る

これについても、今後詳述しますので、そちらを参照して下さい。

 

 

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